お気に入りの空調服を長持ちさせるための手入れ方法について

空調服は高温な環境でも体温が急激に上昇するのを防ぐ効果を期待できる作業服ですが、次第に生地が傷んでしまう点は一般的な作業服と変わりません。また、ファンをはじめとする空調機器も汚れや使い過ぎによって性能が落ちるのでメンテナンスや買い替えが必要になります。

体に馴染むお気に入りの空調服を長持ちさせるためにも、正しい手入れや扱い方について学びましょう。

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空調服の生地は汚れや摩擦以外に過度の洗濯でも劣化する

空調服の遮熱効果は生地の気密性が大きく関係します。

外気の熱を遮る空気の層が保たれるのは、空調服の生地が空気をほとんど通さない作りになっているためです。

そのため、生地にわずかでもほつれが生じるとそこから空気が漏れてしまい、遮熱性が大きく損なわれてしまいます。

愛用の空調服を長持ちさせるためには何よりも生地の傷みを防ぐ必要があると言えるでしょう。作業服の一種である空調服は汚れが付着しやすい環境で着用することが多く、その汚れが生地を傷める事実は否定できません。

塗料や薬品などに含まれている成分の中には生地を劣化させる物もあるので、空調服が次第に傷むのは避けられないと言えます。また、引っかけや摩擦も生地が傷む原因なので注意が必要です。空調服の生地が傷む原因は仕事場での様々なトラブル以外に家庭での洗濯も含まれます。

洗濯機の中で生地同士がこすれ合うことで繊維が少しずつ千切れ、遂には穴が開いてしまいます。また、洗剤の使い過ぎで色が落ちるケースも少なくありません。洗剤の成分が生地の色素を分解した結果、色落ちの状態になります。

色落ちの際、該当する部分の繊維も非常に強い刺激によって劣化していることから、他の部分よりも穴が開きやすくなっていると言えるでしょう。汚れた空調服を洗う際は洗剤の使い過ぎを避ける他、他の衣服とは別にすることも忘れてはいけません。

他の衣服の金具が引っかかり、生地が破れるおそれがあるためです。

型崩れやシワを防ぐことを忘れてはいけない

洗濯機で洗った空調服の着心地が悪くなるのは洗った後の手入れに問題があったためです。空調服は用途の性質上、わずかでも生地の破れや縮み、変形などの不具合が起きてはいけません。

家庭での洗濯は洗った後の手入れを疎かにするケースが少なくないため、お気に入りの空調服がひどく傷んでしまうこともあります。空調服は高い気密性を保つためにポリエステルなどの化学繊維の生地が使われているのが普通ですが、熱や引っかけに強くする目的で綿の繊維を混ぜた生地が使われることがあります。

綿は水に濡れると縮む性質があるため、製品によっては洗濯による型崩れやシワが生じる可能性が否定できません。ファンを取り付ける部分にすき間が生じる原因にもなります。空調服の型崩れやシワを防ぐためには洗濯後の手入れが重要なポイントになります。

洗濯したままの状態で干すと高い確率で不具合が生じます。生地を伸ばして形を整える他、干す際は引っ張り過ぎないことも忘れてはいけません。洗濯した空調服は絡まっていることが多いので、適度に力を加えて生地を伸ばします。

この際、引っ張り過ぎると生地の縫い目が歪んでしまうので慎重に行いましょう。綿の繊維が使われている生地は特に歪みが生じやすいので、少しずつ形を整えることを心がけます。乾かす際は生地を無理に伸ばさず、洗濯バサミで軽く挟んで吊るすのが無難な方法です。

ハンガーを使う場合はシワを作らないためにも、空調服の肩幅と同じサイズの物を使わなければいけません。

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乾燥機やアイロンの使用は生地の厚さや材質などを考慮する

空調服によっては静電気や紫外線を防ぐための特殊な加工が施されている物があります。そのような空調服は家庭用の洗濯機では洗うことができない物が多いので、購入の際はタグなどに記載されている内容の確認を忘れてはいけません。

また、洗濯が可能でも生地の厚さや材質は一般的な空調服とは異なっている物が少なくありません。そのため、洗濯した後の手入れにも気を配る必要があります。乾燥機やアイロンは高温の刺激で生地を傷めるおそれがあります。

特殊な加工が施されている空調服の場合、本来の用途を成さないほどに傷んでしまう可能性が否定できません。特別な記載が無い限り、乾燥機やアイロンは避けるのが賢明と言えるでしょう。また、乾燥機やアイロンが使用できる場合でも温度調節には細心の注意を払うことを忘れてはいけません。

タグなどに記載されている温度よりもやや低めの数値にするのが生地の劣化を防ぐコツです。

空調機器は消耗品なので定期的な交換が必要

空調服を購入した際に付属している空調機器をいつまでも使い続けるのはありがちなミスです。空気の層を形成する空調機器は非常に重要な物であり、わずかな不具合も起こしてはいけないと言えます。作業服の一種である空調服は場合によってはひどく汚れてしまいますが、空調機器も例外ではありません。

泥や薬品などの汚れが付着したまま使い続けると故障するおそれがあります。また、清潔な状態でも長く使い続けていると次第に性能が落ちてしまうので、高い遮熱性を保つためにも空調機器は定期的な買い替えが欠かせません。

販売メーカーの多くは空調機器を個別に販売しているので、必要な物を選んで買い替えることができます。特に外気を取り込んで衣服の中に送るファンは汚れが付着しやすいので、買い替えの際は掃除がしやすい物を選ぶのが長持ちさせるコツです。

汚れを吸着させるフィルターが付属しているファンなら手入れが容易なうえ、買い替えもフィルターだけで済むので経済的です。配線やバッテリーについては使用回数が多くなるほど性能が落ちるので、空調服を着用した回数に合わせて買い替えのタイミングを決めるように心がけます。

生地が破れた場合は応急処置も可能

空調服は生地の気密性が遮熱効果を左右するので、生地が破れた場合は新しい空調服に買い替えるのが賢明な対処法です。しかし、空調服は高額な物が多いので出費が嵩んでしまいます。破れた部分が小さい場合は当て布で塞ぐなどの応急処置である程度の改善を図ることが可能です。

熱で貼り付けるタイプの当て布なら縫い付ける必要が無いので、空調服の気密性を損なわずに不具合を解消することができます。

丁寧に扱うことがお気に入りの一着を長持ちさせる条件

体に馴染む空調服は着用する回数が多くなりがちです。その分だけ生地や空調機器が傷みやすくなるので、日頃から丁寧に扱うことを心がけます。手入れの際も傷みがひどくならないように細心の注意を払うことを忘れてはいけません。

空調機器の買い替えや当て布による応急処置など、お気に入りの一着を長く着続けるには相応の工夫が必要と言えるでしょう。

参考リンク「空調作業着:ユニフォームタウン」https://www.l-m.co.jp/kucho-fuku/