空調服をより涼しくする四つ穴加工とファンを増やす際の注意点

空調服は衣服の中に空気の層を作って外気の熱を遮断する仕組みですが、最初から付属しているファンだけでは空気の層を厚く保つのは難しいと言えます。涼しさを感じるには空気の層を厚くすることが何よりも重要であり、そのためにはファンを増やすのがもっとも確実な方法です。

空調服のファンを増やす方法や注意点について学びましょう。

空調服に最初から付属しているファンだけでは高い遮熱効果を期待できない

市販の空調服には最初からファンが取り付けられているので、買ったその場から遮熱性を体感することができます。しかし、空調服のほとんどはファンが一つしか付いていないので、期待していたほどの遮熱性を得られないのが実状です。

ファンが二つ付いている製品もありますがバッテリーが消耗しやすく、空調機器が増えた分だけ重たくなってしまうことから市販品は少数に留まっています。その一方でファンが二つ付いている空調服でも非常に気温が高い場所ではあまり涼しさを感じません。

ファンのパワーが強くてもサイズが小さいので風量が少なく、外気の温度を遮断できるほどの空気の層を形成できないのが理由です。そのため、遮熱性を向上させるには風量を増やすことが重要と言えるでしょう。

ファンを増やすことで遮熱性が向上する

空調服の遮熱性を向上させるにはファンの数を増やすのがもっとも効果的です。風量が増すほど空気の層が厚くなり、外気の温度が伝わりにくくなります。風量を増やすにはファンの数を増やすかサイズを大きくする以外に方法はありません。

ファンを大きくすると体の動きを阻害するので、数を増やすのが唯一の解決策と言えます。バッテリーやファンのモーターを高性能な物に取り換える方法もありますが、元々のサイズが小さいため、いくらパワーを強くしても期待するほどの風量にはなりません。

むしろ、パワーがある程度弱くてもファンの数を増やした方が風量が増し、高い遮熱性を持つ空気の層を作ることができます。数が多くても一つ一つはサイズが小さいので、体を動かす際も邪魔になりません。ファンの数が増えるほど遮熱性は向上しますが、作業服としての機能を保つには四つ穴が最適とされています。

四つ穴は空調服にファンを組み込むための穴を四つ作った状態であり、体の動かしやすさと空調機器の重さ、バッテリーを消耗する頻度のバランスがもっとも釣り合っている数字と言えるでしょう。

体を激しく動かしたり非常に温度が高い場所で作業する際はさらに穴を増やした六つ穴が用いられることもありますが、バッテリーが著しく消耗する他、空調機器の重さが体に負担をかける欠点もあるので利便性が高いとは言い切れません。

また、穴を増やしたことで衣類としての耐久性も損なわれることから、よほど過酷な環境でもない限り、四つ穴がもっとも利便性の高い空調服と言えるでしょう。

四つ穴加工は専門業者に任せるのが最善な理由

空調服のファンを増やすのは遮熱性を向上させるのに効果的な方法ですが、そのためには空調服にファン用の穴を開ける必要があります。単に生地を切って穴を作るわけではなく、ファンを固定させると共にすき間を作らないための補強を施さなければいけません。

生地は細い繊維を縫い合わせた物なので、単に穴を開けるだけでは縫い目がほどけてしまいます。生地そのものが形を保てなくなるので、そのような事態を避けるためにも切り口の補強が欠かせません。穴開け加工はファンのサイズに合わせて生地を切り取り、切り口を覆う形で当て布を縫い付けます。

空調服の生地の材質によっては熱で貼り付くタイプの当て布を使うこともありますが、余計なすき間を作らないという目的は同じです。わずかなすき間も生じてはいけないので、穴開け加工は空調服などの加工を専門に行う業者へ依頼するのが賢明です。

素人作業の縫製ではすき間が生じてしまい、そこから空気が漏れてしまいます。空調服は気密性が保たれている状態でなければ空気の層を形成することができません。快適な着心地の空調服に仕上げるためにも、多少の出費は承知のうえで業者に依頼することを心がけます。

満足できる仕上がりにするためにも、穴開け加工に慣れている熟練の業者を選ぶことが重要です。実績が豊富で評判が良い所なら作業工賃が高額でも金額以上の仕上がりを期待できます。

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ファンなどの空調機器が増えた分だけ重さが増すことを注意する

ファンが増えることで風量が増し、空気の層が厚くなります。遮熱性が向上して高温の場所でも快適に過ごすことができますが、その一方で空調機器が増えたことによって重さも増している事実を無視してはいけません。一つだけならさほど重たくは感じませんが、数が四倍になると重さも四倍になります。

ファンだけではなく配線やバッテリーも四倍になるので、その重さは体に大きな負担をかけると言えるでしょう。涼しく感じるためにファンを増やしたせいで却って体への負担が増えてしまったという事態にならないためにも、どれだけ重量が増すのかを確認することを忘れてはいけません。

穴を増やした空調服はお手入れを慎重に行うことが大切

穴開け加工を施した空調服は生地が切り取られたことで耐久性が低下しています。切り口を当て布で塞ぐことによってある程度は補強されていますが、生地の面積が減った部分は引っ張りに弱くなっているので丁寧に扱わなければいけません。

また、洗濯の際に当て布の縫い目がほつれてしまうこともあります。糸のほつれを放置すると生地がほどけることがあるので、早いうちに糸を切り取るのが賢明です。穴を開けた部分が他の衣類に絡まるとほつれが生じやすいので、空調服だけを別に洗うなどの工夫が求められます。

洗濯の後はシワを伸ばして日陰で乾かすのが正しい方法ですが、穴の部分が弛まないように干し方を工夫しなければいけません。乾いた後も穴の部分を折らないように収納する必要がありますが、これは穴の部分にシワができるのを防ぐためです。

シワができるとその部分にすき間が生じてしまい、空気が漏れる可能性があります。こうなると空調服としては役に立たないので、お手入れの際は細心の注意を払わなければいけません。

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穴を増やした空調服は涼しいが取り扱いに注意する

四つ穴の空調服はファンを増やしたことでより高い遮熱効果を得ることができます。高温な環境でも快適に過ごせますが、その一方で空調機器の増加により重くなってしまう点は注意しなければいけません。また、生地に穴を開けたことで空調服の耐久性が低下していることから、洗濯やシワ伸ばしの際は丁寧に扱うことを心がけます。